Journal

The First Sip

The First Sip

遠い日の一杯 - A Seed of Passion 「どうしてコーヒーロースターを始めたの?」最近よくこんな質問をいただきます。今回は、私のコーヒー人生の原点となる、ある日の出来事をお話ししたいと思います。 会社員だった頃のこと。毎日の営業活動に追われる日々でしたが、ふとした出来事が人生の方向を大きく変えることになりました。 ある日の商談先で、一杯のコーヒーをいただく機会がありました。それは、ブラジル カップ・オブ・エクセレンス2位に輝いた珍しい豆だったのです。カップを手に取り、一口飲んだ瞬間、まるで時が止まったかのような不思議な感覚に包まれました。 口の中に広がる澄んだ味わい。清らかな口当たりと、花のように繊細で豊かな香りのハーモニー。それまで「日常的な飲み物」としか認識していなかったコーヒーの、まったく新しい一面を発見したのです。 商談を終えてオフィスに戻る道すがら、その一杯のコーヒーの余韻が口腔内に鮮明に残り続けていました。デスクに着いても、30分以上経った後もなお、あの味わいが私の感覚を刺激し続けていたのです。その長く続く余韻は「これこそがコーヒーの本質的な魅力なんだ」と語りかけているようでした。 その瞬間から、私の中で何かが変わりました。コーヒーは単なる飲料ではなく、心を動かす深い体験になり得ることを知ったのです。この一杯が、後の人生を大きく変えることになるとは、当時は思いもよりませんでした。 あれから年月が流れ、今では自らコーヒーロースターとしてこの道を歩んでいます。あの日の体験が、今の私を作り上げる大きなきっかけとなったのです。 ボタリズムコーヒーロースターの目指すところは、あの時私が感じた感動を、一杯のコーヒーを通してお客様にもお届けすること。そして、コーヒーの新たな可能性を探り、皆様にお伝えしていくことです。 信頼できる生産者から届く最高品質の生豆の選び方から、その豆の個性を最大限に引き出す焙煎方法の検討まで、すべての工程に心を込めて取り組んでいます。 ボタリズムの一杯には、コーヒーへの敬意と、感動を分かち合いたいという思いが込められています。私たちのコーヒーを飲んでいただくとき、新しい体験の扉が開かれることを願っています。 遠い日の一杯から芽生えた私のコーヒーへの思い。それが今、ボタリズムという形になりました。コーヒーを通じて、感動と発見に満ちた旅へ。皆様と一緒に、新しいコーヒー体験を作り上げていけることを、心から楽しみにしています。

The First Sip

遠い日の一杯 - A Seed of Passion 「どうしてコーヒーロースターを始めたの?」最近よくこんな質問をいただきます。今回は、私のコーヒー人生の原点となる、ある日の出来事をお話ししたいと思います。 会社員だった頃のこと。毎日の営業活動に追われる日々でしたが、ふとした出来事が人生の方向を大きく変えることになりました。 ある日の商談先で、一杯のコーヒーをいただく機会がありました。それは、ブラジル カップ・オブ・エクセレンス2位に輝いた珍しい豆だったのです。カップを手に取り、一口飲んだ瞬間、まるで時が止まったかのような不思議な感覚に包まれました。 口の中に広がる澄んだ味わい。清らかな口当たりと、花のように繊細で豊かな香りのハーモニー。それまで「日常的な飲み物」としか認識していなかったコーヒーの、まったく新しい一面を発見したのです。 商談を終えてオフィスに戻る道すがら、その一杯のコーヒーの余韻が口腔内に鮮明に残り続けていました。デスクに着いても、30分以上経った後もなお、あの味わいが私の感覚を刺激し続けていたのです。その長く続く余韻は「これこそがコーヒーの本質的な魅力なんだ」と語りかけているようでした。 その瞬間から、私の中で何かが変わりました。コーヒーは単なる飲料ではなく、心を動かす深い体験になり得ることを知ったのです。この一杯が、後の人生を大きく変えることになるとは、当時は思いもよりませんでした。 あれから年月が流れ、今では自らコーヒーロースターとしてこの道を歩んでいます。あの日の体験が、今の私を作り上げる大きなきっかけとなったのです。 ボタリズムコーヒーロースターの目指すところは、あの時私が感じた感動を、一杯のコーヒーを通してお客様にもお届けすること。そして、コーヒーの新たな可能性を探り、皆様にお伝えしていくことです。 信頼できる生産者から届く最高品質の生豆の選び方から、その豆の個性を最大限に引き出す焙煎方法の検討まで、すべての工程に心を込めて取り組んでいます。 ボタリズムの一杯には、コーヒーへの敬意と、感動を分かち合いたいという思いが込められています。私たちのコーヒーを飲んでいただくとき、新しい体験の扉が開かれることを願っています。 遠い日の一杯から芽生えた私のコーヒーへの思い。それが今、ボタリズムという形になりました。コーヒーを通じて、感動と発見に満ちた旅へ。皆様と一緒に、新しいコーヒー体験を作り上げていけることを、心から楽しみにしています。

Inspiration

Inspiration

  5月25日土曜日のawanmarketの温かい余韻に浸る間もなく、地域の一斉草刈りや日本ミツバチの分蜂群捕獲に追われた慌ただしい日曜日。そして迎えた本日月曜日は、各パートナー店舗様のために焙煎し、納品する日。皆の思いや課題に向き合いながら、自分の出来ることと出来ないことを改めて整理し、より良い形を目指し続ける。自然に根ざした暮らし。そこから得るインスピレーション。それは僕にとっての原動力であり、安らぎの場所でもある。それは決して同じ場所に留まることを許さず、変化し続ける環境や、それに関わるすべてのものとのせめぎ合いと融合。色々と詰め込んだ一日。出来なかったことはやりたかった事をやりつくした結果であることは幸せなことだろう。パートナー店舗の方々との会話からも様々なヒントを得ることがある。彼らの情熱や努力、その笑顔が、僕にとって何よりの励みだ。彼らのために、自分ができる最善を尽くすことも、僕の一つの使命だと感じる。日が暮れる前に帰宅して、愛犬の楽と散歩する。草刈りを終えた里山はとても美しいけれど、今がピークの蛍は留まるところを失って困っているかな。自然と共に生き、人々と共に歩む日々。Photo by @takoyakirinya

Inspiration

  5月25日土曜日のawanmarketの温かい余韻に浸る間もなく、地域の一斉草刈りや日本ミツバチの分蜂群捕獲に追われた慌ただしい日曜日。そして迎えた本日月曜日は、各パートナー店舗様のために焙煎し、納品する日。皆の思いや課題に向き合いながら、自分の出来ることと出来ないことを改めて整理し、より良い形を目指し続ける。自然に根ざした暮らし。そこから得るインスピレーション。それは僕にとっての原動力であり、安らぎの場所でもある。それは決して同じ場所に留まることを許さず、変化し続ける環境や、それに関わるすべてのものとのせめぎ合いと融合。色々と詰め込んだ一日。出来なかったことはやりたかった事をやりつくした結果であることは幸せなことだろう。パートナー店舗の方々との会話からも様々なヒントを得ることがある。彼らの情熱や努力、その笑顔が、僕にとって何よりの励みだ。彼らのために、自分ができる最善を尽くすことも、僕の一つの使命だと感じる。日が暮れる前に帰宅して、愛犬の楽と散歩する。草刈りを終えた里山はとても美しいけれど、今がピークの蛍は留まるところを失って困っているかな。自然と共に生き、人々と共に歩む日々。Photo by @takoyakirinya

旅の記憶と今日の記録

旅の記憶と今日の記録

本日ロースタリーに来てくれたお客さまさっぱりとした、いかにも好青年 ひとしきりコーヒー豆の説明をしつつ「どこから来たのですか?」と聞くと『バンで日本一周の旅の途中なんです』とのこと。 スマホで見せてくれた車内は板張りで清潔感があり快適そう。旅に出て既に半年、このまま放浪して海外まで行きたいのだとか。「羨ましいなぁ。それが選択肢として出来ることならやるべきって話だよね。いいなぁ~。インスタとかやってますか?」と尋ねると『いいえ、そうしたこととは距離をおき、むしろ携帯もそろそろ手放そうかと』ときたものだからオジサンスイッチ入っちゃって、「俺が若い頃、アジアを旅したときには携帯どころかインターネットもメールアドレスを持っている一部の人がネットカフェで使うかどうか。ロンリー・プラネットととか、地球の歩き方を片手に辿り着いた宿で出会う旅人との情報交換で新たな目的地を決めていたんだよね。それが最近じゃぁインスタでライブ配信しながらサブスクで集金つつの世界一周の旅。いや、それが悪いとは思っていないけど、時代は変わったよね。」お釣り間違えちゃうくらい熱くなり過ぎたなぁという雰囲気のところで、なんとも潔く爽やかに好青年はロースタリーを去ってゆく。「ありがとう!気を付けて!」と声を掛けてから、見送りたい気持ちで外に出ると、年代物の自分で塗装したと思われるバン。いいねぇ~ふと、そのバンの屋根に載っているものに目が留まる。どこかで見たような四角いアンテナ。「このアンテナはなんですか?」と聞くと、『衛星で船の上でもインターネットできるんです。』Costcoで見たスターリンクだぜ。めっちゃハイテク。使っている人に初めて会ったよ。オジサンのノスタルジーがどうあれ時代は着実に変わってる。 良い旅を。いつかまた会えたらいいな。

旅の記憶と今日の記録

本日ロースタリーに来てくれたお客さまさっぱりとした、いかにも好青年 ひとしきりコーヒー豆の説明をしつつ「どこから来たのですか?」と聞くと『バンで日本一周の旅の途中なんです』とのこと。 スマホで見せてくれた車内は板張りで清潔感があり快適そう。旅に出て既に半年、このまま放浪して海外まで行きたいのだとか。「羨ましいなぁ。それが選択肢として出来ることならやるべきって話だよね。いいなぁ~。インスタとかやってますか?」と尋ねると『いいえ、そうしたこととは距離をおき、むしろ携帯もそろそろ手放そうかと』ときたものだからオジサンスイッチ入っちゃって、「俺が若い頃、アジアを旅したときには携帯どころかインターネットもメールアドレスを持っている一部の人がネットカフェで使うかどうか。ロンリー・プラネットととか、地球の歩き方を片手に辿り着いた宿で出会う旅人との情報交換で新たな目的地を決めていたんだよね。それが最近じゃぁインスタでライブ配信しながらサブスクで集金つつの世界一周の旅。いや、それが悪いとは思っていないけど、時代は変わったよね。」お釣り間違えちゃうくらい熱くなり過ぎたなぁという雰囲気のところで、なんとも潔く爽やかに好青年はロースタリーを去ってゆく。「ありがとう!気を付けて!」と声を掛けてから、見送りたい気持ちで外に出ると、年代物の自分で塗装したと思われるバン。いいねぇ~ふと、そのバンの屋根に載っているものに目が留まる。どこかで見たような四角いアンテナ。「このアンテナはなんですか?」と聞くと、『衛星で船の上でもインターネットできるんです。』Costcoで見たスターリンクだぜ。めっちゃハイテク。使っている人に初めて会ったよ。オジサンのノスタルジーがどうあれ時代は着実に変わってる。 良い旅を。いつかまた会えたらいいな。