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Less is More.
日本ミツバチからの贈り物:2024年の蜂蜜事情 持続可能な養蜂への道のり:量より質を重視して こんにちは。今日は2024年9月22日。本日は、多くの方からお問い合わせいただいている2024年の日本ミツバチの蜂蜜について、詳しくご説明したいと思います。 結論から申し上げますと、今年の蜂蜜は例年以上に少量での販売となる見込みです。これには深い理由があります。以下、詳細をお話しします。 日本ミツバチの特性について まず、私たちが大切にしている日本ミツバチの特性について説明させてください。日本ミツバチは、一般的にスーパーマーケットで見かける蜂蜜を生産する西洋ミツバチとは異なる特徴を持っています。 日本ミツバチは野生種であり、人間による飼育の歴史が浅く、自然の習性を強く保持しています。特筆すべき点として、日本ミツバチの蜂蜜の生産量は西洋ミツバチと比較してかなり少なく、一説には1/5〜1/10程度だと言われています。 しかし、この少ない蜂蜜の生産は決して欠点ではありません。むしろ、日本の自然環境に適応した結果であり、彼らの優れた特徴の一つと言えます。日本ミツバチは、この少量の蜂蜜でコロニーを維持することができる、非常に効率的な生態を持っています。これは、日本の気候風土の中で長い時間をかけて進化してきた結果なのです。 さらに興味深いのは、日本ミツバチの「逃去(とうきょ)」という習性です。これは、環境条件が合わなくなると、容易に巣を捨てて新しい場所に移動する性質を指します。一見すると扱いにくい特性に思えるかもしれません。実際養蜂家泣かせな習性でもあります。しかし、この習性こそが、彼らの環境適応能力の高さを示しています。少ない蜜でも生存できるからこそ、より良い環境を求めて自由に移動できるのです。 私個人の経験との共通点 ここで少し個人的な話をさせていただきます。私自身、幼少期から親の都合で日本各地を転々としてきました。この経験が、日本ミツバチの習性に共感を覚える一因となっているように思うことがあります。 環境の変化に適応し、新しい場所で生活を再構築する。この過程は時に困難を伴いますが、そこから得られる経験は非常に貴重です。今でも時折、私自身も新たな環境に身を置きたくなることがあり、そのことについて妄想を膨らませます。この感覚は、日本ミツバチの「逃去」の習性と通じるものがあるように思えるのです。 今年の蜂蜜生産量が少ない理由 今年の蜂蜜生産量が少ない理由は、主に二つあります。 気候変動の影響: 近年の異常気象、特に猛暑が大きく影響しています。ミツバチは極端な高温に弱く、花蜜を集める活動が制限されました。 養蜂方法の選択: 私は「重箱式」という養蜂方法を採用しています。これは、ミツバチの生活リズムを尊重する方法です。 重箱式養蜂について 養蜂には様々な方法がありますが、私が選択したのは重箱式です。この方法は、ミツバチの巣の構造をよく観察して生み出されました。 ミツバチの巣は巣板と言われる板状で、上部に蜜を貯蔵し、下部で育児を行います。重箱式は、この上部の蜜のみを慎重に採取する方法です。これにより、ミツバチの生活サイクルを乱すことなく、必要最小限の蜜のみを頂くことができます。 他の方法では、巣全体の蜜を一度に採取することもありますが、それではミツバチは巣を一から再構築しなければなりませんし、育児層も台無しに。秋に向けての準備や厳しい冬を越すためのエネルギーが必要な時期に、これは大きな負担となります。 この方法を選択した理由 確かに、この方法では採取できる蜂蜜の量は限られます。しかし、私はこの方法に大きな意義があると考えています。 ミツバチの生活リズムの尊重: 彼らは自然の中で生きる野生動物です。人間の都合のみで彼らの生活を変えることは適切ではないと考えます。 持続可能性: 毎年、自然のリズムに合わせて蜂蜜を分けてもらうこの方法は、長期的に見て持続可能です。 生活との調和: この方法は、コーヒー焙煎や他の仕事との両立を可能にし、ミツバチとゆったりとした時間を過ごすことができます。...
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日本ミツバチからの贈り物:2024年の蜂蜜事情 持続可能な養蜂への道のり:量より質を重視して こんにちは。今日は2024年9月22日。本日は、多くの方からお問い合わせいただいている2024年の日本ミツバチの蜂蜜について、詳しくご説明したいと思います。 結論から申し上げますと、今年の蜂蜜は例年以上に少量での販売となる見込みです。これには深い理由があります。以下、詳細をお話しします。 日本ミツバチの特性について まず、私たちが大切にしている日本ミツバチの特性について説明させてください。日本ミツバチは、一般的にスーパーマーケットで見かける蜂蜜を生産する西洋ミツバチとは異なる特徴を持っています。 日本ミツバチは野生種であり、人間による飼育の歴史が浅く、自然の習性を強く保持しています。特筆すべき点として、日本ミツバチの蜂蜜の生産量は西洋ミツバチと比較してかなり少なく、一説には1/5〜1/10程度だと言われています。 しかし、この少ない蜂蜜の生産は決して欠点ではありません。むしろ、日本の自然環境に適応した結果であり、彼らの優れた特徴の一つと言えます。日本ミツバチは、この少量の蜂蜜でコロニーを維持することができる、非常に効率的な生態を持っています。これは、日本の気候風土の中で長い時間をかけて進化してきた結果なのです。 さらに興味深いのは、日本ミツバチの「逃去(とうきょ)」という習性です。これは、環境条件が合わなくなると、容易に巣を捨てて新しい場所に移動する性質を指します。一見すると扱いにくい特性に思えるかもしれません。実際養蜂家泣かせな習性でもあります。しかし、この習性こそが、彼らの環境適応能力の高さを示しています。少ない蜜でも生存できるからこそ、より良い環境を求めて自由に移動できるのです。 私個人の経験との共通点 ここで少し個人的な話をさせていただきます。私自身、幼少期から親の都合で日本各地を転々としてきました。この経験が、日本ミツバチの習性に共感を覚える一因となっているように思うことがあります。 環境の変化に適応し、新しい場所で生活を再構築する。この過程は時に困難を伴いますが、そこから得られる経験は非常に貴重です。今でも時折、私自身も新たな環境に身を置きたくなることがあり、そのことについて妄想を膨らませます。この感覚は、日本ミツバチの「逃去」の習性と通じるものがあるように思えるのです。 今年の蜂蜜生産量が少ない理由 今年の蜂蜜生産量が少ない理由は、主に二つあります。 気候変動の影響: 近年の異常気象、特に猛暑が大きく影響しています。ミツバチは極端な高温に弱く、花蜜を集める活動が制限されました。 養蜂方法の選択: 私は「重箱式」という養蜂方法を採用しています。これは、ミツバチの生活リズムを尊重する方法です。 重箱式養蜂について 養蜂には様々な方法がありますが、私が選択したのは重箱式です。この方法は、ミツバチの巣の構造をよく観察して生み出されました。 ミツバチの巣は巣板と言われる板状で、上部に蜜を貯蔵し、下部で育児を行います。重箱式は、この上部の蜜のみを慎重に採取する方法です。これにより、ミツバチの生活サイクルを乱すことなく、必要最小限の蜜のみを頂くことができます。 他の方法では、巣全体の蜜を一度に採取することもありますが、それではミツバチは巣を一から再構築しなければなりませんし、育児層も台無しに。秋に向けての準備や厳しい冬を越すためのエネルギーが必要な時期に、これは大きな負担となります。 この方法を選択した理由 確かに、この方法では採取できる蜂蜜の量は限られます。しかし、私はこの方法に大きな意義があると考えています。 ミツバチの生活リズムの尊重: 彼らは自然の中で生きる野生動物です。人間の都合のみで彼らの生活を変えることは適切ではないと考えます。 持続可能性: 毎年、自然のリズムに合わせて蜂蜜を分けてもらうこの方法は、長期的に見て持続可能です。 生活との調和: この方法は、コーヒー焙煎や他の仕事との両立を可能にし、ミツバチとゆったりとした時間を過ごすことができます。...

Inspiration
5月25日土曜日のawanmarketの温かい余韻に浸る間もなく、地域の一斉草刈りや日本ミツバチの分蜂群捕獲に追われた慌ただしい日曜日。そして迎えた本日月曜日は、各パートナー店舗様のために焙煎し、納品する日。皆の思いや課題に向き合いながら、自分の出来ることと出来ないことを改めて整理し、より良い形を目指し続ける。自然に根ざした暮らし。そこから得るインスピレーション。それは僕にとっての原動力であり、安らぎの場所でもある。それは決して同じ場所に留まることを許さず、変化し続ける環境や、それに関わるすべてのものとのせめぎ合いと融合。色々と詰め込んだ一日。出来なかったことはやりたかった事をやりつくした結果であることは幸せなことだろう。パートナー店舗の方々との会話からも様々なヒントを得ることがある。彼らの情熱や努力、その笑顔が、僕にとって何よりの励みだ。彼らのために、自分ができる最善を尽くすことも、僕の一つの使命だと感じる。日が暮れる前に帰宅して、愛犬の楽と散歩する。草刈りを終えた里山はとても美しいけれど、今がピークの蛍は留まるところを失って困っているかな。自然と共に生き、人々と共に歩む日々。Photo by @takoyakirinya
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5月25日土曜日のawanmarketの温かい余韻に浸る間もなく、地域の一斉草刈りや日本ミツバチの分蜂群捕獲に追われた慌ただしい日曜日。そして迎えた本日月曜日は、各パートナー店舗様のために焙煎し、納品する日。皆の思いや課題に向き合いながら、自分の出来ることと出来ないことを改めて整理し、より良い形を目指し続ける。自然に根ざした暮らし。そこから得るインスピレーション。それは僕にとっての原動力であり、安らぎの場所でもある。それは決して同じ場所に留まることを許さず、変化し続ける環境や、それに関わるすべてのものとのせめぎ合いと融合。色々と詰め込んだ一日。出来なかったことはやりたかった事をやりつくした結果であることは幸せなことだろう。パートナー店舗の方々との会話からも様々なヒントを得ることがある。彼らの情熱や努力、その笑顔が、僕にとって何よりの励みだ。彼らのために、自分ができる最善を尽くすことも、僕の一つの使命だと感じる。日が暮れる前に帰宅して、愛犬の楽と散歩する。草刈りを終えた里山はとても美しいけれど、今がピークの蛍は留まるところを失って困っているかな。自然と共に生き、人々と共に歩む日々。Photo by @takoyakirinya

旅の記憶と今日の記録
本日ロースタリーに来てくれたお客さまさっぱりとした、いかにも好青年 ひとしきりコーヒー豆の説明をしつつ「どこから来たのですか?」と聞くと『バンで日本一周の旅の途中なんです』とのこと。 スマホで見せてくれた車内は板張りで清潔感があり快適そう。旅に出て既に半年、このまま放浪して海外まで行きたいのだとか。「羨ましいなぁ。それが選択肢として出来ることならやるべきって話だよね。いいなぁ~。インスタとかやってますか?」と尋ねると『いいえ、そうしたこととは距離をおき、むしろ携帯もそろそろ手放そうかと』ときたものだからオジサンスイッチ入っちゃって、「俺が若い頃、アジアを旅したときには携帯どころかインターネットもメールアドレスを持っている一部の人がネットカフェで使うかどうか。ロンリー・プラネットととか、地球の歩き方を片手に辿り着いた宿で出会う旅人との情報交換で新たな目的地を決めていたんだよね。それが最近じゃぁインスタでライブ配信しながらサブスクで集金つつの世界一周の旅。いや、それが悪いとは思っていないけど、時代は変わったよね。」お釣り間違えちゃうくらい熱くなり過ぎたなぁという雰囲気のところで、なんとも潔く爽やかに好青年はロースタリーを去ってゆく。「ありがとう!気を付けて!」と声を掛けてから、見送りたい気持ちで外に出ると、年代物の自分で塗装したと思われるバン。いいねぇ~ふと、そのバンの屋根に載っているものに目が留まる。どこかで見たような四角いアンテナ。「このアンテナはなんですか?」と聞くと、『衛星で船の上でもインターネットできるんです。』Costcoで見たスターリンクだぜ。めっちゃハイテク。使っている人に初めて会ったよ。オジサンのノスタルジーがどうあれ時代は着実に変わってる。 良い旅を。いつかまた会えたらいいな。
旅の記憶と今日の記録
本日ロースタリーに来てくれたお客さまさっぱりとした、いかにも好青年 ひとしきりコーヒー豆の説明をしつつ「どこから来たのですか?」と聞くと『バンで日本一周の旅の途中なんです』とのこと。 スマホで見せてくれた車内は板張りで清潔感があり快適そう。旅に出て既に半年、このまま放浪して海外まで行きたいのだとか。「羨ましいなぁ。それが選択肢として出来ることならやるべきって話だよね。いいなぁ~。インスタとかやってますか?」と尋ねると『いいえ、そうしたこととは距離をおき、むしろ携帯もそろそろ手放そうかと』ときたものだからオジサンスイッチ入っちゃって、「俺が若い頃、アジアを旅したときには携帯どころかインターネットもメールアドレスを持っている一部の人がネットカフェで使うかどうか。ロンリー・プラネットととか、地球の歩き方を片手に辿り着いた宿で出会う旅人との情報交換で新たな目的地を決めていたんだよね。それが最近じゃぁインスタでライブ配信しながらサブスクで集金つつの世界一周の旅。いや、それが悪いとは思っていないけど、時代は変わったよね。」お釣り間違えちゃうくらい熱くなり過ぎたなぁという雰囲気のところで、なんとも潔く爽やかに好青年はロースタリーを去ってゆく。「ありがとう!気を付けて!」と声を掛けてから、見送りたい気持ちで外に出ると、年代物の自分で塗装したと思われるバン。いいねぇ~ふと、そのバンの屋根に載っているものに目が留まる。どこかで見たような四角いアンテナ。「このアンテナはなんですか?」と聞くと、『衛星で船の上でもインターネットできるんです。』Costcoで見たスターリンクだぜ。めっちゃハイテク。使っている人に初めて会ったよ。オジサンのノスタルジーがどうあれ時代は着実に変わってる。 良い旅を。いつかまた会えたらいいな。