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Exact Measures

Exact Measures

今回は普段あまり意識されない「量り」のお話。実は、美味しいコーヒーを安心して楽しむ上で、とても大切なことなのです。 計量法:私たちの生活を支えるルール 「計量法」という言葉をご存知でしょうか。これは私たちの生活に密接に関わる大切な法律です。簡単に言えば、「モノを量る時のルール」のようなもの。 八百屋さんで買う野菜の重さ、ガソリンスタンドで入れる燃料の量、どれも正確でなければ困りますよね。この計量法が、日常のあらゆる場面で使われる「量り」の正確さを守っているのです。 コーヒー豆の量り売りと計量法 コーヒー豆の量り売りにも、この計量法が関わってきます。 ボタリズムでは、オンラインストアと実店舗で異なる形式で、お客様のニーズに合わせたコーヒー豆の販売を行っています。 オンラインストアでの販売とロースタリーでの販売 オンラインストアでは、100g、200g、300g、500gという定量でコーヒー豆を販売しています。一方、ロースタリーでの対面販売では、より細やかなサービスを提供しています。100g以上であれば、1g単位でお好みの量をお買い上げ頂くことが可能です。 その際に使用する計量器は、計量法に基づいた「検定付き」のもの。これは、取引に使う計量器として、定期的に検査を受けて精度が保証されたものです。 環境に配慮したサービス 店舗では、環境への配慮を大切にしています。使い捨てではない容器をご持参いただいたお客様には、10%の増量サービスを行っております。少しでもゴミを減らし、環境負荷を軽減する取り組みの一環です。 また、コーヒー豆の保存に適したおすすめの容器も販売しています。これらの容器は繰り返し使用でき、コーヒーの鮮度を保つだけでなく、環境保護にも貢献します。 お客様との対話から生まれる信頼関係 「いつもの豆を、いつもの量で」というお客様には、前回と同じ味わいを。 「今回は少し多めに」というお客様には、適切なアドバイスを添えて。 「環境に配慮した買い物がしたい」というお客様には、マイ容器の使用をご提案。 こうした日々の対話を通じて、ボタリズムも成長を続けています。 お客様のご要望や感想を聞くたびに、新しい気づきがあり、それがサービスの向上につながっています。 美味しいコーヒーは正確な量りから、そして環境への思いやりから 正確な量りは、美味しいコーヒーを楽しむための大切な一歩。でも、それ以上に大切なのは、お客様との信頼関係と環境への配慮。オンラインでも店頭でも、正確な量をお届けすることはもちろん、環境にも優しい方法でコーヒーを楽しんでいただきたいと考えています。 最後に オンラインストアをご利用の際は、ご希望の量を選びやすい定量パックをご活用ください。また、実店舗にお越しの際は、ぜひマイ容器のご持参をお勧め板さいます。これからも、皆さまとの対話を大切に、より良いコーヒー体験と持続可能な未来をお届けしていきます。ご要望やご質問があれば、遠慮なくお声がけください。 皆さまのご利用を、心からお待ちしています。

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今回は普段あまり意識されない「量り」のお話。実は、美味しいコーヒーを安心して楽しむ上で、とても大切なことなのです。 計量法:私たちの生活を支えるルール 「計量法」という言葉をご存知でしょうか。これは私たちの生活に密接に関わる大切な法律です。簡単に言えば、「モノを量る時のルール」のようなもの。 八百屋さんで買う野菜の重さ、ガソリンスタンドで入れる燃料の量、どれも正確でなければ困りますよね。この計量法が、日常のあらゆる場面で使われる「量り」の正確さを守っているのです。 コーヒー豆の量り売りと計量法 コーヒー豆の量り売りにも、この計量法が関わってきます。 ボタリズムでは、オンラインストアと実店舗で異なる形式で、お客様のニーズに合わせたコーヒー豆の販売を行っています。 オンラインストアでの販売とロースタリーでの販売 オンラインストアでは、100g、200g、300g、500gという定量でコーヒー豆を販売しています。一方、ロースタリーでの対面販売では、より細やかなサービスを提供しています。100g以上であれば、1g単位でお好みの量をお買い上げ頂くことが可能です。 その際に使用する計量器は、計量法に基づいた「検定付き」のもの。これは、取引に使う計量器として、定期的に検査を受けて精度が保証されたものです。 環境に配慮したサービス 店舗では、環境への配慮を大切にしています。使い捨てではない容器をご持参いただいたお客様には、10%の増量サービスを行っております。少しでもゴミを減らし、環境負荷を軽減する取り組みの一環です。 また、コーヒー豆の保存に適したおすすめの容器も販売しています。これらの容器は繰り返し使用でき、コーヒーの鮮度を保つだけでなく、環境保護にも貢献します。 お客様との対話から生まれる信頼関係 「いつもの豆を、いつもの量で」というお客様には、前回と同じ味わいを。 「今回は少し多めに」というお客様には、適切なアドバイスを添えて。 「環境に配慮した買い物がしたい」というお客様には、マイ容器の使用をご提案。 こうした日々の対話を通じて、ボタリズムも成長を続けています。 お客様のご要望や感想を聞くたびに、新しい気づきがあり、それがサービスの向上につながっています。 美味しいコーヒーは正確な量りから、そして環境への思いやりから 正確な量りは、美味しいコーヒーを楽しむための大切な一歩。でも、それ以上に大切なのは、お客様との信頼関係と環境への配慮。オンラインでも店頭でも、正確な量をお届けすることはもちろん、環境にも優しい方法でコーヒーを楽しんでいただきたいと考えています。 最後に オンラインストアをご利用の際は、ご希望の量を選びやすい定量パックをご活用ください。また、実店舗にお越しの際は、ぜひマイ容器のご持参をお勧め板さいます。これからも、皆さまとの対話を大切に、より良いコーヒー体験と持続可能な未来をお届けしていきます。ご要望やご質問があれば、遠慮なくお声がけください。 皆さまのご利用を、心からお待ちしています。

Colombia Coffee Seminar

Colombia Coffee Seminar

コロンビアコーヒー:伝統と革新の調和 SCAJ2024ではニカラグアに続いて、コロンビアコーヒーについてのセミナーに参加しました。コロンビアはボタリズムにとって欠かすことのできない重要な産地の一つです。今回のセミナーでは、コロンビアのコーヒー産業が直面する課題と、それに対する革新的な取り組みについて多くの学びがありました。 美しい生豆と、その背景にある努力 当店で仕入れているコロンビアの生豆は、麻袋を開封した瞬間から目を奪われるほどの美しさを持っています。その姿からは、産地での多大な努力が感じられます。実際、コロンビアのコーヒー産業は品質向上に向けて弛まぬ努力を続けており、今回のセミナーでもその一端を知ることができました。 2024年の収穫は好調な見込み セミナーの冒頭で、2024年度の収穫が好調であることが示されました。これは非常に良いニュースです。しかし、過去には気候変動の影響も見られました。2021年から2022年にかけて、コロンビアは強いラニーニャ現象の影響を受け、困難な時期を経験しています。現在の年間生産量は約1250万袋から1300万袋程度と推定されています。 CASTILLO 2.0:未来を見据えた新品種 今回のセミナーで特に印象的だったのは、「CASTILLO 2.0」という新品種のテイスティングを体験できたことです。この品種は、世界的な課題となっている気候変動や、コーヒーの木にとって重大な問題となるさび病に強い耐性を持っています。実際に市場に流通するまでにはまだ数年かかりますが、コーヒーの2050年問題に対する一つの光明を直接感じられたことは、大きな収穫でした。 持続可能性への取り組み コロンビアのコーヒー産業は、品質、環境、持続可能性の3つの柱に注力しています。具体的には以下のような取り組みが行われています: 水洗工場のセンター化:生産者の労働環境改善、品質の均一化、環境負荷の低減、コスト削減、トレーサビリティの向上を実現 EU規制への対応:森林破壊のないコーヒー生産を目指し、トレーサビリティシステムを構築 持続可能な農業実践:コーヒー樹の更新プログラム、適切な施肥計画、水資源管理の改善 気候変動への適応と緩和策:新品種の導入、農業プラクティスの改善、森林保護と再生プログラムの実施 日本市場との深い関係 セミナーのプレゼンテーターは日本市場で6年以上の経験を持ち、日本のバイヤーとの協力関係を重視していると語りました。日本市場の高い品質要求に応えるため、水洗処理や品質管理の改善に特に注力しているそうです。 未来へ向けて コロンビアのコーヒー産業は、新品種の普及、水洗工場のさらなるセンター化、トレーサビリティシステムの強化などを通じて、国際市場での競争力維持を目指しています。これらの取り組みは、高品質なコーヒー生産を維持しつつ、気候変動や国際市場の要求に対応するためのものです。 今回のセミナーを通じて、コロンビアコーヒーの魅力と、その背後にある多くの人々の努力をあらためて実感しました。ボタリズムでは、これからもコロンビアの生産者の方々と協力し、皆様に素晴らしいコーヒー体験をお届けできるよう努めてまいります。

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コロンビアコーヒー:伝統と革新の調和 SCAJ2024ではニカラグアに続いて、コロンビアコーヒーについてのセミナーに参加しました。コロンビアはボタリズムにとって欠かすことのできない重要な産地の一つです。今回のセミナーでは、コロンビアのコーヒー産業が直面する課題と、それに対する革新的な取り組みについて多くの学びがありました。 美しい生豆と、その背景にある努力 当店で仕入れているコロンビアの生豆は、麻袋を開封した瞬間から目を奪われるほどの美しさを持っています。その姿からは、産地での多大な努力が感じられます。実際、コロンビアのコーヒー産業は品質向上に向けて弛まぬ努力を続けており、今回のセミナーでもその一端を知ることができました。 2024年の収穫は好調な見込み セミナーの冒頭で、2024年度の収穫が好調であることが示されました。これは非常に良いニュースです。しかし、過去には気候変動の影響も見られました。2021年から2022年にかけて、コロンビアは強いラニーニャ現象の影響を受け、困難な時期を経験しています。現在の年間生産量は約1250万袋から1300万袋程度と推定されています。 CASTILLO 2.0:未来を見据えた新品種 今回のセミナーで特に印象的だったのは、「CASTILLO 2.0」という新品種のテイスティングを体験できたことです。この品種は、世界的な課題となっている気候変動や、コーヒーの木にとって重大な問題となるさび病に強い耐性を持っています。実際に市場に流通するまでにはまだ数年かかりますが、コーヒーの2050年問題に対する一つの光明を直接感じられたことは、大きな収穫でした。 持続可能性への取り組み コロンビアのコーヒー産業は、品質、環境、持続可能性の3つの柱に注力しています。具体的には以下のような取り組みが行われています: 水洗工場のセンター化:生産者の労働環境改善、品質の均一化、環境負荷の低減、コスト削減、トレーサビリティの向上を実現 EU規制への対応:森林破壊のないコーヒー生産を目指し、トレーサビリティシステムを構築 持続可能な農業実践:コーヒー樹の更新プログラム、適切な施肥計画、水資源管理の改善 気候変動への適応と緩和策:新品種の導入、農業プラクティスの改善、森林保護と再生プログラムの実施 日本市場との深い関係 セミナーのプレゼンテーターは日本市場で6年以上の経験を持ち、日本のバイヤーとの協力関係を重視していると語りました。日本市場の高い品質要求に応えるため、水洗処理や品質管理の改善に特に注力しているそうです。 未来へ向けて コロンビアのコーヒー産業は、新品種の普及、水洗工場のさらなるセンター化、トレーサビリティシステムの強化などを通じて、国際市場での競争力維持を目指しています。これらの取り組みは、高品質なコーヒー生産を維持しつつ、気候変動や国際市場の要求に対応するためのものです。 今回のセミナーを通じて、コロンビアコーヒーの魅力と、その背後にある多くの人々の努力をあらためて実感しました。ボタリズムでは、これからもコロンビアの生産者の方々と協力し、皆様に素晴らしいコーヒー体験をお届けできるよう努めてまいります。

Nicaragua Coffee Seminar

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ニカラグアコーヒー:大地と人々が紡ぐ豊かな物語 先日、SCAJ2024でニカラグアコーヒーについてのセミナーに参加する機会がありました。そこで得た学びを皆様と共有したいと思います。 ニカラグアのコーヒー生産は、単なる産業を超えた、国の文化と自然環境を映し出す鏡のようです。51,000以上の生産者家族が携わり、そのうち30%が女性経営者という点に、この国のコーヒー産業の多様性と包括性が表れています。 風味豊かな生産地域 生産地域は主に北部と中央部。ここでは、高地栽培による豊かな風味と、土壌の特性が織りなす独特の味わいが生まれます。例えば、ヌエバ・セゴビア地域ではチョコレートやモモを思わせる風味と繊細な酸味が、マタガルパ地域ではキャラメルやトロピカルフルーツの風味に柑橘系の酸味が特徴的だそうです。 環境との共生 環境への配慮も、ニカラグアコーヒーの重要な側面です。森林保護、水資源の保全、生物多様性の維持など、自然と共生する生産方法が積極的に採用されています。シェードグロウン(日陰栽培)の可能性も探られており、これらの取り組みが、コーヒーの品質向上にも寄与しているようです。 品質向上への取り組み 品質向上への取り組みも興味深いものでした。若者向けのコーヒー学校の設立や、品質認証プロセスの改善、様々な加工方法の実験など、次世代を見据えた施策が行われています。その成果は、Cup of Excellence(COE)などの国際的なコーヒーコンテストでの高評価にも表れています。 地理が育む個性 ニカラグアのコーヒー生産地域には、ラテンアメリカで2番目に大きい淡水湖であるニカラグア湖や、二つの火山がある島など、多様な地形が存在します。この地理的特徴が、コーヒーの風味プロファイルに独特の個性を与えているのでしょう。 COE出品コーヒーの試飲体験 セミナーでは、Cup of Excellence(COE)に出品された5種類のニカラグアコーヒーの試飲も行われました。この貴重な機会により、ニカラグアコーヒーの地域や製法による違いを、実際に味わいながら体験することができました。それぞれのコーヒーが持つ独特の風味プロファイルや、繊細な味わいの違いを感じ取ることで、ニカラグアコーヒーの多様性と奥深さを、より一層理解することができました。 コーヒーに込められた物語 セミナーと試飲を通じて強く訴求されていたのは、ニカラグアのコーヒーが単なる飲み物以上の存在だということです。それは生産者の魂であり、国の文化の結晶であり、そして環境保護と社会的責任のシンボルでもあるのです。 コーヒーを通じて、遠く離れた土地の物語に触れる。そんな体験の素晴らしさを、改めて実感した時間でした。ニカラグアコーヒーを味わう際には、その一杯に込められた豊かなストーリーに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。 今後も、こうした学びの機会を大切にし、皆様により良いコーヒー体験をお届けできるよう努めてまいります。

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ニカラグアコーヒー:大地と人々が紡ぐ豊かな物語 先日、SCAJ2024でニカラグアコーヒーについてのセミナーに参加する機会がありました。そこで得た学びを皆様と共有したいと思います。 ニカラグアのコーヒー生産は、単なる産業を超えた、国の文化と自然環境を映し出す鏡のようです。51,000以上の生産者家族が携わり、そのうち30%が女性経営者という点に、この国のコーヒー産業の多様性と包括性が表れています。 風味豊かな生産地域 生産地域は主に北部と中央部。ここでは、高地栽培による豊かな風味と、土壌の特性が織りなす独特の味わいが生まれます。例えば、ヌエバ・セゴビア地域ではチョコレートやモモを思わせる風味と繊細な酸味が、マタガルパ地域ではキャラメルやトロピカルフルーツの風味に柑橘系の酸味が特徴的だそうです。 環境との共生 環境への配慮も、ニカラグアコーヒーの重要な側面です。森林保護、水資源の保全、生物多様性の維持など、自然と共生する生産方法が積極的に採用されています。シェードグロウン(日陰栽培)の可能性も探られており、これらの取り組みが、コーヒーの品質向上にも寄与しているようです。 品質向上への取り組み 品質向上への取り組みも興味深いものでした。若者向けのコーヒー学校の設立や、品質認証プロセスの改善、様々な加工方法の実験など、次世代を見据えた施策が行われています。その成果は、Cup of Excellence(COE)などの国際的なコーヒーコンテストでの高評価にも表れています。 地理が育む個性 ニカラグアのコーヒー生産地域には、ラテンアメリカで2番目に大きい淡水湖であるニカラグア湖や、二つの火山がある島など、多様な地形が存在します。この地理的特徴が、コーヒーの風味プロファイルに独特の個性を与えているのでしょう。 COE出品コーヒーの試飲体験 セミナーでは、Cup of Excellence(COE)に出品された5種類のニカラグアコーヒーの試飲も行われました。この貴重な機会により、ニカラグアコーヒーの地域や製法による違いを、実際に味わいながら体験することができました。それぞれのコーヒーが持つ独特の風味プロファイルや、繊細な味わいの違いを感じ取ることで、ニカラグアコーヒーの多様性と奥深さを、より一層理解することができました。 コーヒーに込められた物語 セミナーと試飲を通じて強く訴求されていたのは、ニカラグアのコーヒーが単なる飲み物以上の存在だということです。それは生産者の魂であり、国の文化の結晶であり、そして環境保護と社会的責任のシンボルでもあるのです。 コーヒーを通じて、遠く離れた土地の物語に触れる。そんな体験の素晴らしさを、改めて実感した時間でした。ニカラグアコーヒーを味わう際には、その一杯に込められた豊かなストーリーに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。 今後も、こうした学びの機会を大切にし、皆様により良いコーヒー体験をお届けできるよう努めてまいります。

コーヒー豆のグレード・格付け、認証とブランド

コーヒー豆のグレード・格付け、認証とブランド

先日、私が住んでいるエリアの学校でPTAの方々向けにコーヒー講座をさせて頂く機会に恵まれて実施してきました。そのような場所なので、当店のご紹介ではなく、コーヒーとは?という視点でなるべく公平かつ網羅的な内容となるよう心掛けていたのですがこれがなかなか難しくて。それでも、知識と味覚は直結していますので、ご参加頂いた皆様のコーヒーライフがより美味しく楽しくなるように、限られた時間にギュッと詰め込んできました。私にとっても改めてコーヒーについて整理するきっかけとなり、またそれをご紹介していく必要性を強く感じた時間でした。さてタイトルにあります本題ですが、一つのブログ記事にまとめるのは余りにも広く深いテーマなので、今回は概要のみとします。これまでは専門性の強いと思われる情報についてのアウトプットは必要最小限にして、なるべく受け止めやすい、親しみやすい形でコーヒーをご紹介したいというスタンスでした。その基本姿勢に変わりはありませんが、その上で今後はブログ等のコンテンツとして、少しマニアックなウンチク的な情報についても触れていこうと思っております。独断と偏見を含むかもしれない私の解釈を入れつつ、コーヒー豆屋の親父の呟きとして不定期に投稿していきたいと思います。コーヒーについての知識を得ることは、コーヒーの味わいを深めることに繋がります。挽きたてのコーヒーをドリップし、ゆっくりと味わいながら、ご笑覧くださいませ。また、当店で取り扱うスペシャルティーコーヒーについてのこちらのページも併せてご参照ください。   【各国独自の格付け】 コーヒー豆は各産地の輸出品目として重要な農産物です。それ故に、各国では独自の品質基準を設け、コーヒー豆の等級付けすることにより、その品質と流通の適正化に努めています。 ブラジル世界最大のコーヒー産出国であるブラジルでは、スクリーンといわれるメッシュによってS20,S19,S18~S12といったコーヒー豆の大きさを選別、欠点豆の数、カップテストにより格付けしています。   グアテマラ 中南米の名産地であるグアテマラではどうかというと、産地の標高によってグレーディングされています。SHB,HB,SH,,,のような順です。SHBは"ストリクトリーハードビーンズ"のイニシャルで、直訳すると”凄く硬い豆”ですね。標高が高いエリアで育成するコーヒーチェリーは、昼夜の大きな寒暖差によりゆっくりと成熟し、実がギュッと締まり風味特性も特徴的なものとなる傾向にあります。   エチオピアコーヒーの木のルーツとされるエチオピアでは、収穫したコーヒー豆に含まれる欠点豆の数によって、欠点豆の少ない順に、G1,G2,G3,G4~G8という格付けがなされます。エチオピアの代表的なコーヒー産地といえばシダモ地区ですが、当店で取り扱うことの多いイルガチェフェはこのシダモ地区の中でも特に標高の高い2000~2500mの高地にあります。   ケニア 同じアフリカでもケニアではまた異なる格付けとなります。スクリーンサイズによってAA,A,B,Cとグレード分けされます。大き過ぎるものはやはり低評価となります。 インドネシアアジアの主要なコーヒー産地であるインドネシア。こちらも欠点豆の少ない順に、G1,G2~G5という等級に選別されます。インドネシア諸島の中で産出されるコーヒーの中で日本人にとってもっとも有名なのはマンデリンかもしれません。ただしこのマンデリンという名称がどのコーヒーを指すのかにも諸説あり、それをもって高品質なコーヒーと言えるかどうかは微妙なところです。 当店ではスマトラ島のリントン地区で栽培されるアラビカ種G1のコーヒー豆を使用しています。   他にも、多くのコーヒー生産国があり、各国の基準によって格付けがなされています。 【認証制度】 コーヒー豆そのものに対しての評価基準とは別に様々な認証制度も存在しています。認証制度はコーヒー品質についての評価基準ではなく、それを取り巻く環境やその取引手法などについて制度的に取り決めているものです。代表的な認証制度についてご紹介します。フェアトレード (https://www.fairtrade-jp.org/)特に開発途上国といわれる国々でコーヒーなどの農作物の生産に関わっている人々の生活水準は消費国と比較して著しく低いのが実情です。そしてその産物の価格は投機対象として取引されるものもあり相場によって激しく変動しており、それが産出国の方々の生活を不安定なものとする一つの要因です。フェアトレードでは、小規模農家が生産組合を結成し、生産能力を高め、労働に対する正当な対価を得る為の交渉力を持ち、定められた「フェアトレード最低価格」の行使により得られた利益により生活を安定させ、学校や病院など地域社会全体の持続的な発展を目指す取り組みです。コーヒー焙煎店がこの認証マークを使用するには、本来は麻袋単位での仕入れが前提となりますが、実態はどうでしょうね。 レインフォレスト・アライアンス (https://www.rainforest-alliance.org/ja/)森林破壊や気候変動、労働環境の改善など、環境問題と社会問題の解決に向けての取り組みです。自然保護を重視し、森林環境と農業の持続性と発展を目指した認証制度です。コーヒーにおいては、シェードグロウンコーヒー(日陰栽培)といわれる、熱帯雨林の様々な樹木や生物の多様性を維持した中で木陰で栽培されるコーヒーもその一環です。当然、収穫などの作業効率は低くなりますが、サステナビリティの観点からも注力され、、社会・経済・環境のすべての面の向上を図るために様々な取り組みが行われています。SDGsが注目される昨今、企業のサステイナブル投資の一環も担っているように見受けられます。 オーガニック(有機JAS)(http://www.organic-cert.or.jp/)こちらが一番聞きなれた認証制度かもしれません。化学的な肥料や薬品を使用せず、土壌を用いた農業生産方法です。遺伝子組み換え技術を使用しないことも要件となります。日本においてはJAS法に基づき、「有機・オーガニック」の表示は登録認証機関による認証を受けた食品のみが表示することができます。生産者・輸出入業者・販売者、それぞれの立場で認証制度における要件が異なります。特に生産者においては、該当する圃場が2~3年化学肥料や禁止された農薬を使用していないこと前提に、講習や認証申請、実地検査など少なからず費用と労力を要します。この点において公平性に疑問を呈する意見も見受けられます。   【ブランド】 ブランドとはなんぞや?という話になると、様々な解釈と意見が交錯してしまうので、ここでは「差別化を意図して付けられた名称」と定義して、その事例を見ていきます。ブルーマウンテン:ジャマイカのブルーマウンテンエリアで栽培・収穫されたコーヒーの名称で、希少性から非常に高値で取引されるコーヒー豆です。シングルオリジンのみならず、ブルーマウンテンブレンドとしても高級ラインナップとなります。このようなブランドを確立したブルーマウンテンを輸入すること自体が利権化している側面もあるように思います。 ピーベリー:コーヒーチェリーの種であるコーヒー豆は、通常一つのチェリーの中に1対として2つ入っています。それが枝の先端部に生るチェリーの中で1つだけとなることがあります。これを集めたものがピーベリーです。ピーベリーはその希少性から比較的高価格帯で取引されます。鶏卵でも稀に黄身が二つ入っているものがあり、物珍しさから双子の卵として販売されることもありますが、これと同様に、希少であることがその品質の裏付けになるかというとそうでもない、というのが私の見解です。 コピ・ルアク:インドネシアに生息するジャコウネコの糞の中にあるコーヒーを集めた「コピ・ルアク」という超高級なコーヒー豆があります。インドネシア政府も価値を認めている希少な特産物ですが、模倣品が溢れていたり、動物虐待の観点からの問題が指摘されるなど、その価値について見直す動きもあります。典型的な珍品の部類であるというのが私の考えです。 モカ:古典的な喫茶店においてはまだまだ存在感のあるモカ。モカはイエメンにある港の名称です。紅海を挟んでエチオピアのあるアフリカ大陸東部の対岸にあるイエメンはコーヒーの貿易港として長い歴史を持つ国です。その港で取り扱われるエチオピアやイエメン原産のコーヒー豆は「モカ」と名付けられ根強い人気があります。それらにインドネシア産のコーヒー豆を混ぜた「モカ・ジャバ」という名称もあります。 ブランドについてはこれといった定義があるものではないので、様々思惑とともに情報として飛び交っていますので、リテラシーが問われます。 以上、コーヒーについての基本的なことを簡単に書き出してみました。それでも充分に長くなってしまいましたので、今回はここまでにしたいと思います。

コーヒー豆のグレード・格付け、認証とブランド

先日、私が住んでいるエリアの学校でPTAの方々向けにコーヒー講座をさせて頂く機会に恵まれて実施してきました。そのような場所なので、当店のご紹介ではなく、コーヒーとは?という視点でなるべく公平かつ網羅的な内容となるよう心掛けていたのですがこれがなかなか難しくて。それでも、知識と味覚は直結していますので、ご参加頂いた皆様のコーヒーライフがより美味しく楽しくなるように、限られた時間にギュッと詰め込んできました。私にとっても改めてコーヒーについて整理するきっかけとなり、またそれをご紹介していく必要性を強く感じた時間でした。さてタイトルにあります本題ですが、一つのブログ記事にまとめるのは余りにも広く深いテーマなので、今回は概要のみとします。これまでは専門性の強いと思われる情報についてのアウトプットは必要最小限にして、なるべく受け止めやすい、親しみやすい形でコーヒーをご紹介したいというスタンスでした。その基本姿勢に変わりはありませんが、その上で今後はブログ等のコンテンツとして、少しマニアックなウンチク的な情報についても触れていこうと思っております。独断と偏見を含むかもしれない私の解釈を入れつつ、コーヒー豆屋の親父の呟きとして不定期に投稿していきたいと思います。コーヒーについての知識を得ることは、コーヒーの味わいを深めることに繋がります。挽きたてのコーヒーをドリップし、ゆっくりと味わいながら、ご笑覧くださいませ。また、当店で取り扱うスペシャルティーコーヒーについてのこちらのページも併せてご参照ください。   【各国独自の格付け】 コーヒー豆は各産地の輸出品目として重要な農産物です。それ故に、各国では独自の品質基準を設け、コーヒー豆の等級付けすることにより、その品質と流通の適正化に努めています。 ブラジル世界最大のコーヒー産出国であるブラジルでは、スクリーンといわれるメッシュによってS20,S19,S18~S12といったコーヒー豆の大きさを選別、欠点豆の数、カップテストにより格付けしています。   グアテマラ 中南米の名産地であるグアテマラではどうかというと、産地の標高によってグレーディングされています。SHB,HB,SH,,,のような順です。SHBは"ストリクトリーハードビーンズ"のイニシャルで、直訳すると”凄く硬い豆”ですね。標高が高いエリアで育成するコーヒーチェリーは、昼夜の大きな寒暖差によりゆっくりと成熟し、実がギュッと締まり風味特性も特徴的なものとなる傾向にあります。   エチオピアコーヒーの木のルーツとされるエチオピアでは、収穫したコーヒー豆に含まれる欠点豆の数によって、欠点豆の少ない順に、G1,G2,G3,G4~G8という格付けがなされます。エチオピアの代表的なコーヒー産地といえばシダモ地区ですが、当店で取り扱うことの多いイルガチェフェはこのシダモ地区の中でも特に標高の高い2000~2500mの高地にあります。   ケニア 同じアフリカでもケニアではまた異なる格付けとなります。スクリーンサイズによってAA,A,B,Cとグレード分けされます。大き過ぎるものはやはり低評価となります。 インドネシアアジアの主要なコーヒー産地であるインドネシア。こちらも欠点豆の少ない順に、G1,G2~G5という等級に選別されます。インドネシア諸島の中で産出されるコーヒーの中で日本人にとってもっとも有名なのはマンデリンかもしれません。ただしこのマンデリンという名称がどのコーヒーを指すのかにも諸説あり、それをもって高品質なコーヒーと言えるかどうかは微妙なところです。 当店ではスマトラ島のリントン地区で栽培されるアラビカ種G1のコーヒー豆を使用しています。   他にも、多くのコーヒー生産国があり、各国の基準によって格付けがなされています。 【認証制度】 コーヒー豆そのものに対しての評価基準とは別に様々な認証制度も存在しています。認証制度はコーヒー品質についての評価基準ではなく、それを取り巻く環境やその取引手法などについて制度的に取り決めているものです。代表的な認証制度についてご紹介します。フェアトレード (https://www.fairtrade-jp.org/)特に開発途上国といわれる国々でコーヒーなどの農作物の生産に関わっている人々の生活水準は消費国と比較して著しく低いのが実情です。そしてその産物の価格は投機対象として取引されるものもあり相場によって激しく変動しており、それが産出国の方々の生活を不安定なものとする一つの要因です。フェアトレードでは、小規模農家が生産組合を結成し、生産能力を高め、労働に対する正当な対価を得る為の交渉力を持ち、定められた「フェアトレード最低価格」の行使により得られた利益により生活を安定させ、学校や病院など地域社会全体の持続的な発展を目指す取り組みです。コーヒー焙煎店がこの認証マークを使用するには、本来は麻袋単位での仕入れが前提となりますが、実態はどうでしょうね。 レインフォレスト・アライアンス (https://www.rainforest-alliance.org/ja/)森林破壊や気候変動、労働環境の改善など、環境問題と社会問題の解決に向けての取り組みです。自然保護を重視し、森林環境と農業の持続性と発展を目指した認証制度です。コーヒーにおいては、シェードグロウンコーヒー(日陰栽培)といわれる、熱帯雨林の様々な樹木や生物の多様性を維持した中で木陰で栽培されるコーヒーもその一環です。当然、収穫などの作業効率は低くなりますが、サステナビリティの観点からも注力され、、社会・経済・環境のすべての面の向上を図るために様々な取り組みが行われています。SDGsが注目される昨今、企業のサステイナブル投資の一環も担っているように見受けられます。 オーガニック(有機JAS)(http://www.organic-cert.or.jp/)こちらが一番聞きなれた認証制度かもしれません。化学的な肥料や薬品を使用せず、土壌を用いた農業生産方法です。遺伝子組み換え技術を使用しないことも要件となります。日本においてはJAS法に基づき、「有機・オーガニック」の表示は登録認証機関による認証を受けた食品のみが表示することができます。生産者・輸出入業者・販売者、それぞれの立場で認証制度における要件が異なります。特に生産者においては、該当する圃場が2~3年化学肥料や禁止された農薬を使用していないこと前提に、講習や認証申請、実地検査など少なからず費用と労力を要します。この点において公平性に疑問を呈する意見も見受けられます。   【ブランド】 ブランドとはなんぞや?という話になると、様々な解釈と意見が交錯してしまうので、ここでは「差別化を意図して付けられた名称」と定義して、その事例を見ていきます。ブルーマウンテン:ジャマイカのブルーマウンテンエリアで栽培・収穫されたコーヒーの名称で、希少性から非常に高値で取引されるコーヒー豆です。シングルオリジンのみならず、ブルーマウンテンブレンドとしても高級ラインナップとなります。このようなブランドを確立したブルーマウンテンを輸入すること自体が利権化している側面もあるように思います。 ピーベリー:コーヒーチェリーの種であるコーヒー豆は、通常一つのチェリーの中に1対として2つ入っています。それが枝の先端部に生るチェリーの中で1つだけとなることがあります。これを集めたものがピーベリーです。ピーベリーはその希少性から比較的高価格帯で取引されます。鶏卵でも稀に黄身が二つ入っているものがあり、物珍しさから双子の卵として販売されることもありますが、これと同様に、希少であることがその品質の裏付けになるかというとそうでもない、というのが私の見解です。 コピ・ルアク:インドネシアに生息するジャコウネコの糞の中にあるコーヒーを集めた「コピ・ルアク」という超高級なコーヒー豆があります。インドネシア政府も価値を認めている希少な特産物ですが、模倣品が溢れていたり、動物虐待の観点からの問題が指摘されるなど、その価値について見直す動きもあります。典型的な珍品の部類であるというのが私の考えです。 モカ:古典的な喫茶店においてはまだまだ存在感のあるモカ。モカはイエメンにある港の名称です。紅海を挟んでエチオピアのあるアフリカ大陸東部の対岸にあるイエメンはコーヒーの貿易港として長い歴史を持つ国です。その港で取り扱われるエチオピアやイエメン原産のコーヒー豆は「モカ」と名付けられ根強い人気があります。それらにインドネシア産のコーヒー豆を混ぜた「モカ・ジャバ」という名称もあります。 ブランドについてはこれといった定義があるものではないので、様々思惑とともに情報として飛び交っていますので、リテラシーが問われます。 以上、コーヒーについての基本的なことを簡単に書き出してみました。それでも充分に長くなってしまいましたので、今回はここまでにしたいと思います。