Journal
Colombia Coffee Seminar
コロンビアコーヒー:伝統と革新の調和 SCAJ2024ではニカラグアに続いて、コロンビアコーヒーについてのセミナーに参加しました。コロンビアはボタリズムにとって欠かすことのできない重要な産地の一つです。今回のセミナーでは、コロンビアのコーヒー産業が直面する課題と、それに対する革新的な取り組みについて多くの学びがありました。 美しい生豆と、その背景にある努力 当店で仕入れているコロンビアの生豆は、麻袋を開封した瞬間から目を奪われるほどの美しさを持っています。その姿からは、産地での多大な努力が感じられます。実際、コロンビアのコーヒー産業は品質向上に向けて弛まぬ努力を続けており、今回のセミナーでもその一端を知ることができました。 2024年の収穫は好調な見込み セミナーの冒頭で、2024年度の収穫が好調であることが示されました。これは非常に良いニュースです。しかし、過去には気候変動の影響も見られました。2021年から2022年にかけて、コロンビアは強いラニーニャ現象の影響を受け、困難な時期を経験しています。現在の年間生産量は約1250万袋から1300万袋程度と推定されています。 CASTILLO 2.0:未来を見据えた新品種 今回のセミナーで特に印象的だったのは、「CASTILLO 2.0」という新品種のテイスティングを体験できたことです。この品種は、世界的な課題となっている気候変動や、コーヒーの木にとって重大な問題となるさび病に強い耐性を持っています。実際に市場に流通するまでにはまだ数年かかりますが、コーヒーの2050年問題に対する一つの光明を直接感じられたことは、大きな収穫でした。 持続可能性への取り組み コロンビアのコーヒー産業は、品質、環境、持続可能性の3つの柱に注力しています。具体的には以下のような取り組みが行われています: 水洗工場のセンター化:生産者の労働環境改善、品質の均一化、環境負荷の低減、コスト削減、トレーサビリティの向上を実現 EU規制への対応:森林破壊のないコーヒー生産を目指し、トレーサビリティシステムを構築 持続可能な農業実践:コーヒー樹の更新プログラム、適切な施肥計画、水資源管理の改善 気候変動への適応と緩和策:新品種の導入、農業プラクティスの改善、森林保護と再生プログラムの実施 日本市場との深い関係 セミナーのプレゼンテーターは日本市場で6年以上の経験を持ち、日本のバイヤーとの協力関係を重視していると語りました。日本市場の高い品質要求に応えるため、水洗処理や品質管理の改善に特に注力しているそうです。 未来へ向けて コロンビアのコーヒー産業は、新品種の普及、水洗工場のさらなるセンター化、トレーサビリティシステムの強化などを通じて、国際市場での競争力維持を目指しています。これらの取り組みは、高品質なコーヒー生産を維持しつつ、気候変動や国際市場の要求に対応するためのものです。 今回のセミナーを通じて、コロンビアコーヒーの魅力と、その背後にある多くの人々の努力をあらためて実感しました。ボタリズムでは、これからもコロンビアの生産者の方々と協力し、皆様に素晴らしいコーヒー体験をお届けできるよう努めてまいります。
Colombia Coffee Seminar
コロンビアコーヒー:伝統と革新の調和 SCAJ2024ではニカラグアに続いて、コロンビアコーヒーについてのセミナーに参加しました。コロンビアはボタリズムにとって欠かすことのできない重要な産地の一つです。今回のセミナーでは、コロンビアのコーヒー産業が直面する課題と、それに対する革新的な取り組みについて多くの学びがありました。 美しい生豆と、その背景にある努力 当店で仕入れているコロンビアの生豆は、麻袋を開封した瞬間から目を奪われるほどの美しさを持っています。その姿からは、産地での多大な努力が感じられます。実際、コロンビアのコーヒー産業は品質向上に向けて弛まぬ努力を続けており、今回のセミナーでもその一端を知ることができました。 2024年の収穫は好調な見込み セミナーの冒頭で、2024年度の収穫が好調であることが示されました。これは非常に良いニュースです。しかし、過去には気候変動の影響も見られました。2021年から2022年にかけて、コロンビアは強いラニーニャ現象の影響を受け、困難な時期を経験しています。現在の年間生産量は約1250万袋から1300万袋程度と推定されています。 CASTILLO 2.0:未来を見据えた新品種 今回のセミナーで特に印象的だったのは、「CASTILLO 2.0」という新品種のテイスティングを体験できたことです。この品種は、世界的な課題となっている気候変動や、コーヒーの木にとって重大な問題となるさび病に強い耐性を持っています。実際に市場に流通するまでにはまだ数年かかりますが、コーヒーの2050年問題に対する一つの光明を直接感じられたことは、大きな収穫でした。 持続可能性への取り組み コロンビアのコーヒー産業は、品質、環境、持続可能性の3つの柱に注力しています。具体的には以下のような取り組みが行われています: 水洗工場のセンター化:生産者の労働環境改善、品質の均一化、環境負荷の低減、コスト削減、トレーサビリティの向上を実現 EU規制への対応:森林破壊のないコーヒー生産を目指し、トレーサビリティシステムを構築 持続可能な農業実践:コーヒー樹の更新プログラム、適切な施肥計画、水資源管理の改善 気候変動への適応と緩和策:新品種の導入、農業プラクティスの改善、森林保護と再生プログラムの実施 日本市場との深い関係 セミナーのプレゼンテーターは日本市場で6年以上の経験を持ち、日本のバイヤーとの協力関係を重視していると語りました。日本市場の高い品質要求に応えるため、水洗処理や品質管理の改善に特に注力しているそうです。 未来へ向けて コロンビアのコーヒー産業は、新品種の普及、水洗工場のさらなるセンター化、トレーサビリティシステムの強化などを通じて、国際市場での競争力維持を目指しています。これらの取り組みは、高品質なコーヒー生産を維持しつつ、気候変動や国際市場の要求に対応するためのものです。 今回のセミナーを通じて、コロンビアコーヒーの魅力と、その背後にある多くの人々の努力をあらためて実感しました。ボタリズムでは、これからもコロンビアの生産者の方々と協力し、皆様に素晴らしいコーヒー体験をお届けできるよう努めてまいります。
Nicaragua Coffee Seminar
ニカラグアコーヒー:大地と人々が紡ぐ豊かな物語 先日、SCAJ2024でニカラグアコーヒーについてのセミナーに参加する機会がありました。そこで得た学びを皆様と共有したいと思います。 ニカラグアのコーヒー生産は、単なる産業を超えた、国の文化と自然環境を映し出す鏡のようです。51,000以上の生産者家族が携わり、そのうち30%が女性経営者という点に、この国のコーヒー産業の多様性と包括性が表れています。 風味豊かな生産地域 生産地域は主に北部と中央部。ここでは、高地栽培による豊かな風味と、土壌の特性が織りなす独特の味わいが生まれます。例えば、ヌエバ・セゴビア地域ではチョコレートやモモを思わせる風味と繊細な酸味が、マタガルパ地域ではキャラメルやトロピカルフルーツの風味に柑橘系の酸味が特徴的だそうです。 環境との共生 環境への配慮も、ニカラグアコーヒーの重要な側面です。森林保護、水資源の保全、生物多様性の維持など、自然と共生する生産方法が積極的に採用されています。シェードグロウン(日陰栽培)の可能性も探られており、これらの取り組みが、コーヒーの品質向上にも寄与しているようです。 品質向上への取り組み 品質向上への取り組みも興味深いものでした。若者向けのコーヒー学校の設立や、品質認証プロセスの改善、様々な加工方法の実験など、次世代を見据えた施策が行われています。その成果は、Cup of Excellence(COE)などの国際的なコーヒーコンテストでの高評価にも表れています。 地理が育む個性 ニカラグアのコーヒー生産地域には、ラテンアメリカで2番目に大きい淡水湖であるニカラグア湖や、二つの火山がある島など、多様な地形が存在します。この地理的特徴が、コーヒーの風味プロファイルに独特の個性を与えているのでしょう。 COE出品コーヒーの試飲体験 セミナーでは、Cup of Excellence(COE)に出品された5種類のニカラグアコーヒーの試飲も行われました。この貴重な機会により、ニカラグアコーヒーの地域や製法による違いを、実際に味わいながら体験することができました。それぞれのコーヒーが持つ独特の風味プロファイルや、繊細な味わいの違いを感じ取ることで、ニカラグアコーヒーの多様性と奥深さを、より一層理解することができました。 コーヒーに込められた物語 セミナーと試飲を通じて強く訴求されていたのは、ニカラグアのコーヒーが単なる飲み物以上の存在だということです。それは生産者の魂であり、国の文化の結晶であり、そして環境保護と社会的責任のシンボルでもあるのです。 コーヒーを通じて、遠く離れた土地の物語に触れる。そんな体験の素晴らしさを、改めて実感した時間でした。ニカラグアコーヒーを味わう際には、その一杯に込められた豊かなストーリーに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。 今後も、こうした学びの機会を大切にし、皆様により良いコーヒー体験をお届けできるよう努めてまいります。
Nicaragua Coffee Seminar
ニカラグアコーヒー:大地と人々が紡ぐ豊かな物語 先日、SCAJ2024でニカラグアコーヒーについてのセミナーに参加する機会がありました。そこで得た学びを皆様と共有したいと思います。 ニカラグアのコーヒー生産は、単なる産業を超えた、国の文化と自然環境を映し出す鏡のようです。51,000以上の生産者家族が携わり、そのうち30%が女性経営者という点に、この国のコーヒー産業の多様性と包括性が表れています。 風味豊かな生産地域 生産地域は主に北部と中央部。ここでは、高地栽培による豊かな風味と、土壌の特性が織りなす独特の味わいが生まれます。例えば、ヌエバ・セゴビア地域ではチョコレートやモモを思わせる風味と繊細な酸味が、マタガルパ地域ではキャラメルやトロピカルフルーツの風味に柑橘系の酸味が特徴的だそうです。 環境との共生 環境への配慮も、ニカラグアコーヒーの重要な側面です。森林保護、水資源の保全、生物多様性の維持など、自然と共生する生産方法が積極的に採用されています。シェードグロウン(日陰栽培)の可能性も探られており、これらの取り組みが、コーヒーの品質向上にも寄与しているようです。 品質向上への取り組み 品質向上への取り組みも興味深いものでした。若者向けのコーヒー学校の設立や、品質認証プロセスの改善、様々な加工方法の実験など、次世代を見据えた施策が行われています。その成果は、Cup of Excellence(COE)などの国際的なコーヒーコンテストでの高評価にも表れています。 地理が育む個性 ニカラグアのコーヒー生産地域には、ラテンアメリカで2番目に大きい淡水湖であるニカラグア湖や、二つの火山がある島など、多様な地形が存在します。この地理的特徴が、コーヒーの風味プロファイルに独特の個性を与えているのでしょう。 COE出品コーヒーの試飲体験 セミナーでは、Cup of Excellence(COE)に出品された5種類のニカラグアコーヒーの試飲も行われました。この貴重な機会により、ニカラグアコーヒーの地域や製法による違いを、実際に味わいながら体験することができました。それぞれのコーヒーが持つ独特の風味プロファイルや、繊細な味わいの違いを感じ取ることで、ニカラグアコーヒーの多様性と奥深さを、より一層理解することができました。 コーヒーに込められた物語 セミナーと試飲を通じて強く訴求されていたのは、ニカラグアのコーヒーが単なる飲み物以上の存在だということです。それは生産者の魂であり、国の文化の結晶であり、そして環境保護と社会的責任のシンボルでもあるのです。 コーヒーを通じて、遠く離れた土地の物語に触れる。そんな体験の素晴らしさを、改めて実感した時間でした。ニカラグアコーヒーを味わう際には、その一杯に込められた豊かなストーリーに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。 今後も、こうした学びの機会を大切にし、皆様により良いコーヒー体験をお届けできるよう努めてまいります。
The First Sip
遠い日の一杯 - A Seed of Passion 「どうしてコーヒーロースターを始めたの?」最近よくこんな質問をいただきます。今回は、私のコーヒー人生の原点となる、ある日の出来事をお話ししたいと思います。 会社員だった頃のこと。毎日の営業活動に追われる日々でしたが、ふとした出来事が人生の方向を大きく変えることになりました。 ある日の商談先で、一杯のコーヒーをいただく機会がありました。それは、ブラジル カップ・オブ・エクセレンス2位に輝いた珍しい豆だったのです。カップを手に取り、一口飲んだ瞬間、まるで時が止まったかのような不思議な感覚に包まれました。 口の中に広がる澄んだ味わい。清らかな口当たりと、花のように繊細で豊かな香りのハーモニー。それまで「日常的な飲み物」としか認識していなかったコーヒーの、まったく新しい一面を発見したのです。 商談を終えてオフィスに戻る道すがら、その一杯のコーヒーの余韻が口腔内に鮮明に残り続けていました。デスクに着いても、30分以上経った後もなお、あの味わいが私の感覚を刺激し続けていたのです。その長く続く余韻は「これこそがコーヒーの本質的な魅力なんだ」と語りかけているようでした。 その瞬間から、私の中で何かが変わりました。コーヒーは単なる飲料ではなく、心を動かす深い体験になり得ることを知ったのです。この一杯が、後の人生を大きく変えることになるとは、当時は思いもよりませんでした。 あれから年月が流れ、今では自らコーヒーロースターとしてこの道を歩んでいます。あの日の体験が、今の私を作り上げる大きなきっかけとなったのです。 ボタリズムコーヒーロースターの目指すところは、あの時私が感じた感動を、一杯のコーヒーを通してお客様にもお届けすること。そして、コーヒーの新たな可能性を探り、皆様にお伝えしていくことです。 信頼できる生産者から届く最高品質の生豆の選び方から、その豆の個性を最大限に引き出す焙煎方法の検討まで、すべての工程に心を込めて取り組んでいます。 ボタリズムの一杯には、コーヒーへの敬意と、感動を分かち合いたいという思いが込められています。私たちのコーヒーを飲んでいただくとき、新しい体験の扉が開かれることを願っています。 遠い日の一杯から芽生えた私のコーヒーへの思い。それが今、ボタリズムという形になりました。コーヒーを通じて、感動と発見に満ちた旅へ。皆様と一緒に、新しいコーヒー体験を作り上げていけることを、心から楽しみにしています。
The First Sip
遠い日の一杯 - A Seed of Passion 「どうしてコーヒーロースターを始めたの?」最近よくこんな質問をいただきます。今回は、私のコーヒー人生の原点となる、ある日の出来事をお話ししたいと思います。 会社員だった頃のこと。毎日の営業活動に追われる日々でしたが、ふとした出来事が人生の方向を大きく変えることになりました。 ある日の商談先で、一杯のコーヒーをいただく機会がありました。それは、ブラジル カップ・オブ・エクセレンス2位に輝いた珍しい豆だったのです。カップを手に取り、一口飲んだ瞬間、まるで時が止まったかのような不思議な感覚に包まれました。 口の中に広がる澄んだ味わい。清らかな口当たりと、花のように繊細で豊かな香りのハーモニー。それまで「日常的な飲み物」としか認識していなかったコーヒーの、まったく新しい一面を発見したのです。 商談を終えてオフィスに戻る道すがら、その一杯のコーヒーの余韻が口腔内に鮮明に残り続けていました。デスクに着いても、30分以上経った後もなお、あの味わいが私の感覚を刺激し続けていたのです。その長く続く余韻は「これこそがコーヒーの本質的な魅力なんだ」と語りかけているようでした。 その瞬間から、私の中で何かが変わりました。コーヒーは単なる飲料ではなく、心を動かす深い体験になり得ることを知ったのです。この一杯が、後の人生を大きく変えることになるとは、当時は思いもよりませんでした。 あれから年月が流れ、今では自らコーヒーロースターとしてこの道を歩んでいます。あの日の体験が、今の私を作り上げる大きなきっかけとなったのです。 ボタリズムコーヒーロースターの目指すところは、あの時私が感じた感動を、一杯のコーヒーを通してお客様にもお届けすること。そして、コーヒーの新たな可能性を探り、皆様にお伝えしていくことです。 信頼できる生産者から届く最高品質の生豆の選び方から、その豆の個性を最大限に引き出す焙煎方法の検討まで、すべての工程に心を込めて取り組んでいます。 ボタリズムの一杯には、コーヒーへの敬意と、感動を分かち合いたいという思いが込められています。私たちのコーヒーを飲んでいただくとき、新しい体験の扉が開かれることを願っています。 遠い日の一杯から芽生えた私のコーヒーへの思い。それが今、ボタリズムという形になりました。コーヒーを通じて、感動と発見に満ちた旅へ。皆様と一緒に、新しいコーヒー体験を作り上げていけることを、心から楽しみにしています。
Less is More.
日本ミツバチからの贈り物:2024年の蜂蜜事情 持続可能な養蜂への道のり:量より質を重視して こんにちは。今日は2024年9月22日。本日は、多くの方からお問い合わせいただいている2024年の日本ミツバチの蜂蜜について、詳しくご説明したいと思います。 結論から申し上げますと、今年の蜂蜜は例年以上に少量での販売となる見込みです。これには深い理由があります。以下、詳細をお話しします。 日本ミツバチの特性について まず、私たちが大切にしている日本ミツバチの特性について説明させてください。日本ミツバチは、一般的にスーパーマーケットで見かける蜂蜜を生産する西洋ミツバチとは異なる特徴を持っています。 日本ミツバチは野生種であり、人間による飼育の歴史が浅く、自然の習性を強く保持しています。特筆すべき点として、日本ミツバチの蜂蜜の生産量は西洋ミツバチと比較してかなり少なく、一説には1/5〜1/10程度だと言われています。 しかし、この少ない蜂蜜の生産は決して欠点ではありません。むしろ、日本の自然環境に適応した結果であり、彼らの優れた特徴の一つと言えます。日本ミツバチは、この少量の蜂蜜でコロニーを維持することができる、非常に効率的な生態を持っています。これは、日本の気候風土の中で長い時間をかけて進化してきた結果なのです。 さらに興味深いのは、日本ミツバチの「逃去(とうきょ)」という習性です。これは、環境条件が合わなくなると、容易に巣を捨てて新しい場所に移動する性質を指します。一見すると扱いにくい特性に思えるかもしれません。実際養蜂家泣かせな習性でもあります。しかし、この習性こそが、彼らの環境適応能力の高さを示しています。少ない蜜でも生存できるからこそ、より良い環境を求めて自由に移動できるのです。 私個人の経験との共通点 ここで少し個人的な話をさせていただきます。私自身、幼少期から親の都合で日本各地を転々としてきました。この経験が、日本ミツバチの習性に共感を覚える一因となっているように思うことがあります。 環境の変化に適応し、新しい場所で生活を再構築する。この過程は時に困難を伴いますが、そこから得られる経験は非常に貴重です。今でも時折、私自身も新たな環境に身を置きたくなることがあり、そのことについて妄想を膨らませます。この感覚は、日本ミツバチの「逃去」の習性と通じるものがあるように思えるのです。 今年の蜂蜜生産量が少ない理由 今年の蜂蜜生産量が少ない理由は、主に二つあります。 気候変動の影響: 近年の異常気象、特に猛暑が大きく影響しています。ミツバチは極端な高温に弱く、花蜜を集める活動が制限されました。 養蜂方法の選択: 私は「重箱式」という養蜂方法を採用しています。これは、ミツバチの生活リズムを尊重する方法です。 重箱式養蜂について 養蜂には様々な方法がありますが、私が選択したのは重箱式です。この方法は、ミツバチの巣の構造をよく観察して生み出されました。 ミツバチの巣は巣板と言われる板状で、上部に蜜を貯蔵し、下部で育児を行います。重箱式は、この上部の蜜のみを慎重に採取する方法です。これにより、ミツバチの生活サイクルを乱すことなく、必要最小限の蜜のみを頂くことができます。 他の方法では、巣全体の蜜を一度に採取することもありますが、それではミツバチは巣を一から再構築しなければなりませんし、育児層も台無しに。秋に向けての準備や厳しい冬を越すためのエネルギーが必要な時期に、これは大きな負担となります。 この方法を選択した理由 確かに、この方法では採取できる蜂蜜の量は限られます。しかし、私はこの方法に大きな意義があると考えています。 ミツバチの生活リズムの尊重: 彼らは自然の中で生きる野生動物です。人間の都合のみで彼らの生活を変えることは適切ではないと考えます。 持続可能性: 毎年、自然のリズムに合わせて蜂蜜を分けてもらうこの方法は、長期的に見て持続可能です。 生活との調和: この方法は、コーヒー焙煎や他の仕事との両立を可能にし、ミツバチとゆったりとした時間を過ごすことができます。...
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日本ミツバチからの贈り物:2024年の蜂蜜事情 持続可能な養蜂への道のり:量より質を重視して こんにちは。今日は2024年9月22日。本日は、多くの方からお問い合わせいただいている2024年の日本ミツバチの蜂蜜について、詳しくご説明したいと思います。 結論から申し上げますと、今年の蜂蜜は例年以上に少量での販売となる見込みです。これには深い理由があります。以下、詳細をお話しします。 日本ミツバチの特性について まず、私たちが大切にしている日本ミツバチの特性について説明させてください。日本ミツバチは、一般的にスーパーマーケットで見かける蜂蜜を生産する西洋ミツバチとは異なる特徴を持っています。 日本ミツバチは野生種であり、人間による飼育の歴史が浅く、自然の習性を強く保持しています。特筆すべき点として、日本ミツバチの蜂蜜の生産量は西洋ミツバチと比較してかなり少なく、一説には1/5〜1/10程度だと言われています。 しかし、この少ない蜂蜜の生産は決して欠点ではありません。むしろ、日本の自然環境に適応した結果であり、彼らの優れた特徴の一つと言えます。日本ミツバチは、この少量の蜂蜜でコロニーを維持することができる、非常に効率的な生態を持っています。これは、日本の気候風土の中で長い時間をかけて進化してきた結果なのです。 さらに興味深いのは、日本ミツバチの「逃去(とうきょ)」という習性です。これは、環境条件が合わなくなると、容易に巣を捨てて新しい場所に移動する性質を指します。一見すると扱いにくい特性に思えるかもしれません。実際養蜂家泣かせな習性でもあります。しかし、この習性こそが、彼らの環境適応能力の高さを示しています。少ない蜜でも生存できるからこそ、より良い環境を求めて自由に移動できるのです。 私個人の経験との共通点 ここで少し個人的な話をさせていただきます。私自身、幼少期から親の都合で日本各地を転々としてきました。この経験が、日本ミツバチの習性に共感を覚える一因となっているように思うことがあります。 環境の変化に適応し、新しい場所で生活を再構築する。この過程は時に困難を伴いますが、そこから得られる経験は非常に貴重です。今でも時折、私自身も新たな環境に身を置きたくなることがあり、そのことについて妄想を膨らませます。この感覚は、日本ミツバチの「逃去」の習性と通じるものがあるように思えるのです。 今年の蜂蜜生産量が少ない理由 今年の蜂蜜生産量が少ない理由は、主に二つあります。 気候変動の影響: 近年の異常気象、特に猛暑が大きく影響しています。ミツバチは極端な高温に弱く、花蜜を集める活動が制限されました。 養蜂方法の選択: 私は「重箱式」という養蜂方法を採用しています。これは、ミツバチの生活リズムを尊重する方法です。 重箱式養蜂について 養蜂には様々な方法がありますが、私が選択したのは重箱式です。この方法は、ミツバチの巣の構造をよく観察して生み出されました。 ミツバチの巣は巣板と言われる板状で、上部に蜜を貯蔵し、下部で育児を行います。重箱式は、この上部の蜜のみを慎重に採取する方法です。これにより、ミツバチの生活サイクルを乱すことなく、必要最小限の蜜のみを頂くことができます。 他の方法では、巣全体の蜜を一度に採取することもありますが、それではミツバチは巣を一から再構築しなければなりませんし、育児層も台無しに。秋に向けての準備や厳しい冬を越すためのエネルギーが必要な時期に、これは大きな負担となります。 この方法を選択した理由 確かに、この方法では採取できる蜂蜜の量は限られます。しかし、私はこの方法に大きな意義があると考えています。 ミツバチの生活リズムの尊重: 彼らは自然の中で生きる野生動物です。人間の都合のみで彼らの生活を変えることは適切ではないと考えます。 持続可能性: 毎年、自然のリズムに合わせて蜂蜜を分けてもらうこの方法は、長期的に見て持続可能です。 生活との調和: この方法は、コーヒー焙煎や他の仕事との両立を可能にし、ミツバチとゆったりとした時間を過ごすことができます。...
Our Journey
2019年9月9日、ロースタリーとしての夢を託していた建物が猛烈な台風により被災しました。外壁が吹き飛び、内部は水浸し。焙煎所としての再出発の道筋が見えない状況でした。 しかし、多くの方々のご支援と励ましに支えられ、語り尽くせない出来事を経て、同年12月、静かにロースタリーでの焙煎をスタートすることができました。 翌年春、世界中を揺るがしたコロナ禍が始まりました。飲食業界全体が大きな打撃を受ける中、お客様と地域の皆さまの安全を第一に考え、予約制での営業を選択しました。 この決断により、せっかくお越しいただいたにもかかわらず、閉じられた扉でお迎えすることになってしまった方々もいらっしゃったことと思います。心よりお詫び申し上げます。 現在は、11時〜15時をコアタイムとして営業しております。 困難を乗り越え、より一層こだわりを深めた珈琲との出会いの場として、皆様のお越しを心よりお待ちしております。 最新の営業情報は、Instagramにて随時更新しております。ぜひご確認ください。 皆様のご支援に感謝を込めて、これからも最高のコーヒー豆で、思い出となるような一杯をお届けする努力を重ねてまいります。
Our Journey
2019年9月9日、ロースタリーとしての夢を託していた建物が猛烈な台風により被災しました。外壁が吹き飛び、内部は水浸し。焙煎所としての再出発の道筋が見えない状況でした。 しかし、多くの方々のご支援と励ましに支えられ、語り尽くせない出来事を経て、同年12月、静かにロースタリーでの焙煎をスタートすることができました。 翌年春、世界中を揺るがしたコロナ禍が始まりました。飲食業界全体が大きな打撃を受ける中、お客様と地域の皆さまの安全を第一に考え、予約制での営業を選択しました。 この決断により、せっかくお越しいただいたにもかかわらず、閉じられた扉でお迎えすることになってしまった方々もいらっしゃったことと思います。心よりお詫び申し上げます。 現在は、11時〜15時をコアタイムとして営業しております。 困難を乗り越え、より一層こだわりを深めた珈琲との出会いの場として、皆様のお越しを心よりお待ちしております。 最新の営業情報は、Instagramにて随時更新しております。ぜひご確認ください。 皆様のご支援に感謝を込めて、これからも最高のコーヒー豆で、思い出となるような一杯をお届けする努力を重ねてまいります。
Inspiration
5月25日土曜日のawanmarketの温かい余韻に浸る間もなく、地域の一斉草刈りや日本ミツバチの分蜂群捕獲に追われた慌ただしい日曜日。そして迎えた本日月曜日は、各パートナー店舗様のために焙煎し、納品する日。皆の思いや課題に向き合いながら、自分の出来ることと出来ないことを改めて整理し、より良い形を目指し続ける。自然に根ざした暮らし。そこから得るインスピレーション。それは僕にとっての原動力であり、安らぎの場所でもある。それは決して同じ場所に留まることを許さず、変化し続ける環境や、それに関わるすべてのものとのせめぎ合いと融合。色々と詰め込んだ一日。出来なかったことはやりたかった事をやりつくした結果であることは幸せなことだろう。パートナー店舗の方々との会話からも様々なヒントを得ることがある。彼らの情熱や努力、その笑顔が、僕にとって何よりの励みだ。彼らのために、自分ができる最善を尽くすことも、僕の一つの使命だと感じる。日が暮れる前に帰宅して、愛犬の楽と散歩する。草刈りを終えた里山はとても美しいけれど、今がピークの蛍は留まるところを失って困っているかな。自然と共に生き、人々と共に歩む日々。Photo by @takoyakirinya
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5月25日土曜日のawanmarketの温かい余韻に浸る間もなく、地域の一斉草刈りや日本ミツバチの分蜂群捕獲に追われた慌ただしい日曜日。そして迎えた本日月曜日は、各パートナー店舗様のために焙煎し、納品する日。皆の思いや課題に向き合いながら、自分の出来ることと出来ないことを改めて整理し、より良い形を目指し続ける。自然に根ざした暮らし。そこから得るインスピレーション。それは僕にとっての原動力であり、安らぎの場所でもある。それは決して同じ場所に留まることを許さず、変化し続ける環境や、それに関わるすべてのものとのせめぎ合いと融合。色々と詰め込んだ一日。出来なかったことはやりたかった事をやりつくした結果であることは幸せなことだろう。パートナー店舗の方々との会話からも様々なヒントを得ることがある。彼らの情熱や努力、その笑顔が、僕にとって何よりの励みだ。彼らのために、自分ができる最善を尽くすことも、僕の一つの使命だと感じる。日が暮れる前に帰宅して、愛犬の楽と散歩する。草刈りを終えた里山はとても美しいけれど、今がピークの蛍は留まるところを失って困っているかな。自然と共に生き、人々と共に歩む日々。Photo by @takoyakirinya