ガラスのカラフェに入った水出しコーヒー。冷たい水の中で深い琥珀色がゆっくりと広がっている、ロースタリーの窓辺の静かな朝の情景。

水に委ねる、ゆるやかな抽出の時間

日射しがゆっくりと長くなり、南房総の窓辺の空気は少しだけ湿りを帯びてきました。気温が穏やかに上がりはじめると、当店ではよく水出しコーヒーのご相談をいただきます。お湯ではなく、冷たい水でゆっくりと淹れる、これからの時季にゆっくり育てたい飲み方です。

ボタリズム オリジナルブレンド タッチザアースをお買い上げいただいたお客様からも、こんな声をいただきました。「バランスがよく、ビターな味わいの存在感が心地よく、つい飲み過ぎてしまいます。気温が上がってきたら、アイスで水出しを作ってみたいと思います」。一杯のコーヒーから、次の楽しみ方への想像が広がっていく。当店としては、たいへんありがたい一文でした。

水出しコーヒーとは

水出しコーヒーは、お湯で短時間に抽出する一般的な淹れ方とは性格がまったく違う飲み物です。冷たい水で、ゆっくりと、長く。豆が水に浸かり続ける時間そのものが、味わいの輪郭を作っていきます。

お湯を使わないことで、苦味や渋みのもととなる成分の抽出が穏やかになり、結果として、口あたりは丸く、後味は澄んだ印象に落ち着くのです。

水出しに向くコーヒー豆

深めの焙煎でコクのバランスを取った豆が、水出しの抽出方法と相性がよろしいように思います。当店のボタリズム オリジナルブレンド タッチザアースは、ビター感とコクの土台がしっかりしており、時間をかけて水に浸すことで、エッジが少しずつほぐれ、土台にあった甘さがゆっくりと前に出てきます。

焙煎度合いと抽出の関係については、別の記事のCoffee Roast Levelsで詳しくまとめています。お湯で淹れたときの印象と、水出しで淹れたときの印象は、同じ豆でも違う表情を見せてくれるはずです。一本のタッチザアースから、二通りの飲み方を試していただければと思います。

水出しコーヒーの淹れ方

挽き方は細挽きから中細挽き

当店が水出しにおすすめしているのは、細挽きから中細挽きの範囲です。挽きを細かめに整えることで、冷たい水でも豆の輪郭がしっかりと水に移り、味わいに芯のある一杯に仕上がるのです。挽き方が抽出にどう影響するかという話は、以前のコーヒーは煎りたてより挽きたて 〜その2〜でも触れました。

豆80g に対して水1000ml が当店の目安

当店がよくお伝えしているのは、豆 80g に水 1000ml という比率です。お好みでお湯抽出よりやや多めの豆量に設定することで、長い抽出時間に対しても豆が水に負けず、しっかりとした骨格のある味わいになります。

1袋でそのまま、当店推奨の水出しに

挽きの調整やコーヒーの計量がご面倒だという方には、すでに中細挽きで仕上げた豆を1袋ずつ小分けにしたボタリズム 水出しコーヒーパックもご用意しています。1000ml用は 80g/袋×5袋、500ml用は 40g/袋×5袋。当店推奨の比率(豆 80g に水 1000ml)をそのまま再現できる構成です。ご注文をお受けしてから豆を挽いてお作りいたしますので、開封時の挽きたての香りもお楽しみいただけます。

常温で12〜24時間抽出してから冷蔵庫へ

挽いた豆と水を、密閉できるガラスの容器に合わせます。当店では角型でストレーナーが付属したHARIO KA-KU 水出しコーヒーボトルを取り扱っており、挽いた豆をストレーナーに直接入れて抽出する形です。豆と水を合わせたら、まずは常温で 12〜24 時間ほど置きます。常温の時間でゆっくりと味が水に移り、抽出が落ち着いた頃合いで冷蔵庫へ移して冷やしていく。この二段階の流れが、当店のおすすめです。淹れ終えた液体を、こし器を通してもう一度ガラスの容器に移すと、後味の透明感がさらに整います。

抽出は、待つ時間

抽出という言葉は、何かを「取り出す」響きを持ちますが、水出しの時間は、むしろ「待つ」ことに近いように感じます。豆の側から少しずつ、水のほうへ味が移っていく。その移り変わりに、手を加えることはほとんどありません。豆の選び方と、挽き方と、水の量。その三つを丁寧に整えたら、あとは時間に委ねるだけです。

よくいただくご質問

水出しコーヒーに合う豆は?

深めの焙煎で、コクのバランスを取った豆が向いています。当店ではボタリズム オリジナルブレンド タッチザアースをおすすめしています。

水出しの抽出時間はどのくらい?

常温で 12〜24 時間ほど置いてから冷蔵庫へ移すのが、当店のおすすめです。常温の時間がゆっくりとした味の移行を作ります。

豆と水の比率は?

豆 80g に対して水 1000ml が当店の目安です。お好みに応じて、豆の量で濃淡を調整してください。

挽き方の目安は?

細挽きから中細挽きの範囲をおすすめしています。挽きを細かめに整えることで、冷たい水でも味の芯が立ちやすくなります。

水出しと一般的なお湯抽出はどう違う?

お湯を使わないことで、苦味や渋みのもととなる成分の抽出が穏やかになります。結果として、口あたりは丸く、後味の澄んだ仕上がりになります。

水出しに使う器具のおすすめは?

密閉できるガラス容器であれば代用できますが、当店ではHARIO KA-KU 水出しコーヒーボトルを取り扱っています。挽きの調整がご面倒な方は、当店推奨の比率を1袋ずつに仕上げたボタリズム 水出しコーヒーパックもおすすめです。

今日も、Botarhythm Coffee Roaster のロースタリーでは、店主の元沢 信昭が静かに豆を焼いています。気温と湿度がゆるやかに変わる時季は、抽出の時間そのものが、いつもより少し丁寧に感じられるものでもあります。水と時間と、豆との対話を、どうぞお楽しみください。

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